この講義の目的
この講義は、地球と人類の進化の歴史を、古代インドのリシやペルシャ、エジプトの文化期における知識や秘儀参入の経験と結びつけて理解することを目的としています。特に、太陽と月が地球から分離したという宇宙の出来事が、どのようにして古代エジプト人の魂に映し出され、彼らの世界観や神話(例えばオシリス神話)の形成に影響を与えたかを解説します。
地球の初期の状態
地球がまだ太陽と月を内包していた原始の状態では、動物、植物、鉱物は現在の形では存在せず、すべては広大なエーテルの霧、あるいは蒸気の球でした。この霧は、現在の固体や液体になっている全ての物質を溶解した、透明で光り輝くガス状の存在でした。その中に人間の胚芽が活発に活動していましたが、他の存在の胚芽はまだ休眠状態でした。この時期の地球は、単なる物理的な光を放つだけでなく、愛の力に満たされた存在であり、天使、大天使、セラフィムといった高次の霊的存在が地球と一体となって生きていました。
初期の人間の姿
地球の原始時代における人間は、現在の肉体とは異なり、微細な霧状または蒸気状の「光体」として存在していました。光に完全に浸透し、照らされた、空気やガスのような体で、固定された境界を持たず、地球全体の光のマントルと一体であると感じていました。彼らは、今日の植物が持つような「鈍い意識」を持ち、高次の神聖な存在と密接に結びつき、「光の子宮」の中で養われていました。この時期には、生と死の意識はまだありませんでした。
太陽の分離が地球と人間に与えた影響
太陽が地球から分離すると、地球は冷却され、エーテルの霧から「水の地球」へと変化しました。この分離によって、高次の太陽の存在たちは地球から去り、より粗い物質が地球に残されました。人間は、光に満ちたガス体から、濁った水中に潜り込む「水の人間」へと姿を変えざるを得なくなりました。その体は部分的に水に浸かり、残りの部分は霧の中に突き出ていました。水中では太陽の光が届かず、人間の下半身には暗い「月の力」が宿るようになりました。
地球が水の状態にあったときに人間に影響を与えた力
太陽が去り、光が水に届かなくなった後も、地球には「音の力」が残っていました。この音こそが水に形を与え、そこから人間の肉体が形成されました。さらに、高次の太陽の霊の一つであるヤハウェ(またはエホバ)が地球に残り、自らを犠牲にして形成的な音として水の世界に響き渡りました。この時の人間の上半身は光と愛に満たされた蒸気体であり、そこには太陽と共に去った高次の存在が影響を与え続けました。しかし、下半身は闇と「月の力」に支配され、後の両生類や竜のような「卑しい性質」を持つようになりました。
オシリス神話と宇宙の進化の関連
オシリス神話におけるオシリスの死は、地球の進化における重要な宇宙的出来事を象徴しています。エジプト人にとって、太陽から来て、かつて弟と調和していた神がオシリスでした。しかし、地球が水の状態から変化し、空気の呼吸が可能になったとき、人間は「光」と「空気の息吹(テュポン)」を二つの兄弟として認識するようになりました。この空気の息吹こそが、かつて人間が持っていた永遠性への意識を破壊し、生と死の意識をもたらしたと考えられました。したがって、オシリスがテュポン(空気の息吹)によって殺されるという神話は、光が退き、空気が現れることで人間が不死を失い、死を経験するようになったという宇宙的・内面的な事実を象徴しているのです。
月の分離が地球と人間に与えた影響
月の分離は、地球をさらに大きく変化させました。この時期、地球では激しい大災害が起こり、地中の水核が凝縮して固い鉱物核が形成され始めました。玄武岩の形成は、この浄化の力の残滓と見なされます。この過程で、地球の上層部は重い物質を放出し、水がまだ混ざり合っていたものの、現在の「空気」のようなものが徐々に形成されていきました。人間もまた、水中の姿から、硬い骨格を持つ体へと変化し始め、この新たな環境に適応するために「空気呼吸」が可能となりました。肺の起源はここにあります。
古代エジプトの知識における太陽や地球の捉え方
現代の物理学は太陽を単なるガス状の球体として物質的に描写し、スペクトル分析を用いてその要素を分析しますが、古代エジプトの秘儀参入者たちの知識は、太陽の「本質」を単なる物理的な光ではなく、「愛の力」に満たされ、高次の霊的存在(スローンズ、セラフィム、ケルビムなど)が住まう生きた存在として捉えていました。彼らにとって、太陽から地球に降り注ぐ光は、これらの高次の存在たちの力と愛そのものでした。現代科学は太陽の「死体」を記述するのと同様に、その外殻しか捉えていないと指摘されています。古代エジプトの秘儀参入者たちは、宇宙の進化の事実を、人間の内なる知識と経験を通じて、象徴的で意識的な「絵」として受け取っていました。